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2024年6月8日 第169回 夏目 裕介

聞き書き「関西華僑の生活史」 

概要:

江戸期から明治以降(1868年:神戸開港)、中国から多くの人々が日本へと渡り生活の根を下ろしてきました。華僑と呼ばれる人々です
神阪京華僑口述記録研究会では、神戸華僑歴史博物館の活動の一環として、関西に住む老華僑を中心に人生や家族の歴史を語ってもらい、聞き書きとして記録してきました。
2007年から始まった聞き書きに応じていただいた方は、戦前から現代まで、華僑1世から4世まで55人に及びます。
今春、これまでの聞き書き記録を『関西華僑の生活史』と題して1冊の本にまとめました。今回は編集者の立場から、神阪京華僑口述研究会の活動と本づくりについて、聞き書き記録の紹介をしながらお話します。

話題提供者:夏目 裕介 氏 株式会社松籟社

略歴:

1993年横浜市立港高等学校入学
1997年京都精華大学人文学部入学
2001年株式会社松籟社入社、現在に至る

担当書籍

呉宏明・髙橋晋一編著『南京町と神戸華僑』、
郭基煥『災害と外国人犯罪流言 関東大震災から東日本大震災まで』、
伊藤泰郎・崔博憲編著『日本で働く 外国人労働者の視点から』、
野村浩也『増補改訂版 無意識の植民地主義 日本人の米軍基地と沖縄人』など


2024年5月11日 第168回 塩出 浩和 氏

マカオにおけるカジノの社会的費用対策 

概要:

  賭博は元来、経済学で扱いにくい行為である。古典的な経済学では、人間の合理的な理性による判断を議論の出発点とする。しかし、賭博(をさせる)という行為は「人間の理性の有限性」につけ込むことで成り立っている。賭場・カジノさらにパチスロ屋は人間の「非合理な行為」をビジネスの種とする。一方、賭け事の刺激性はある種の幸福感をもたらす。賭博が「打ち人」を幸福にするとしても、この行為は「打ち人」本人にとって、さらに彼/彼女にかかわる周りの人々に対してもいくつかのマイナスの作用をもたらす。
 行政府からみた場合、便益の最大のものは税収増である。社会経済的には、インフラとゲーミング施設の建設に伴う固定資産投資の増加、雇用の拡大、宿泊や飲食などサービス産業全般の収益増などが見込まれる。
 一方、カジノは外部不経済を含む一定の社会的費用をも発生させる。カジノは本質的かつ統計的に胴元に収益をもたらす仕組みになっている。そのため、来訪者の家計を破綻させるリスクを常に伴う。賭博行為の「ワクワク感」は精神的・病的な依存につながる。
 マカオのようにさほど広くない土地にカジノ施設を造る場合、土地という有限の資源を住宅や学校そして病院などといった公共性の高い用途と奪い合うことになる。人材もまた、カジノとそれに関連するホテル・レストラン・エンタテインメント施設などに流れてしまい、他の産業にはなかなか回らない。
 上述のような社会的費用を軽減するための対策がマカオではどのように行われているのかについて報告する。

話題提供者:塩出 浩和 氏 城西国際大学教授

略歴:

1960年 横浜市生まれ
 1982年 慶應義塾大学法学部政治学科卒業
 1982-83年 香港中文大学社会科学院留学
 1985-89年 Center for the Progress of Peoples 研究員
 1990年 国際大学アジア発展研究所研究員
 2000年 城西国際大学語学教育センター専任講師
 現在 城西国際大学国際人文学部国際文化学科教授
    中央大学経済学部・同大学院総合政策研究科非常勤講師
 専攻 中国近代史・華南社会・マカオ

主要実績:

Japanese Investment in Southeast Asia -Three Malaysian Case Studies,
HongKong: Center for the Progress of Peoples, 1989.
・“Tumen River Area Development Programme: The North Korean
Perspective”, Myo Thant, Min Tang and Hiroshi Kakazu eds., Growth Triangles in Asia -A New Approach to Regional Economic Cooperation, HongKong: Oxford University Press, 1994.
・『可能性としてのマカオ』亜東書店、1999年。
・「香港における戦勝と解放」川島真・貴志俊彦編『資料で読む世界の8月15日』
山川出版社、2008年。
・「戦後香港における憲政改革と香港社会 -1947年から48年-」中央大学人文科学研究所編『中華民国の模索と苦境 1928~1949』中央大学出版会、2010年。
・『変容する華南と華人ネットワークの現在』風響社、2014年(谷垣真理子・容應萸との共編著)。
・2011年から『東亜』に「マカオは今」を隔月連載中。


2024年4月13日 第167回 張 宏偉

中国と日本の狭間、「玉子焼」で活路 

概要:

 第128回例会(2018年7月25日)にて「日本の食を中国へ 中国日系食品会社員から独立して日本で起業するまで」と題して報告しました。その後も苦心しながら中国への水産物輸出を中心に事業を拡張していきました。しかし、コロナ禍、消費の低迷などが続き、昨夏からは中国政府による日本品水産物輸入規制という大きな壁が立ち塞がったままです。中国との接点の強さや水産物に主力を置いていたことが逆に業容を狭めることになりました。
 このような逆風のなかで如何に活路を見出して反転していくか?前回のような創業までの苦労話や成功談の域を超えて、強みの一つである「厚焼き玉子」を中心に更なる発展の礎となる企画を立て、広い市場に展開する模索状況を率直に報告したいと思います。

話題提供者:張 宏偉 氏 大興商事株式会社 代表取締役

略歴:

1972年 山東省青州市生まれ 1992年   ㈱あじかん(本社広島市 東証スタンダード市場上場)と中国企業との合弁企業「青州青安食品有限公司」にドライバーとして入社。広島工場にて研修(93~94年)の後、生産を担当。
2008年  ㈱あじかん100%出資の「山東安吉丸食品有限公司」で工場長を経て董事総経理。
2013年  香港系商社の広州市伊田忠貿易公司の総経理を兼務。
2014年  ㈱あじかん退職
2016年  広州市伊田忠貿易公司の総経理を退職後、来日して大阪で大興商事㈱を設立し代表取締役就任。
2021年  販売会社<上海阪興実業有限公司>設立(個人出資)
2023年  ㈱あじかん海外事業部顧問を経て、「山東安吉丸食品有限公司」董事総経理に復帰(兼務)。


2024年3月9日 第166回 前田 尚香

崑曲・崑劇の実技と解説 

概要:

 ユネスコの世界無形遺産として、中国で一番に登録されたのは何かご存知でしょうか?「崑劇」という伝統演劇がそれに当たります。実は登録のはるか前から、崑劇に注目し研究や習得に努めた日本人が多数おり、今では日本人だけでも上演や演奏が可能になっています。
 崑劇は京劇よりも歴史が古く、「百戯之祖(あらゆる芝居の祖)」と呼ばれています。今回は、崑劇の演劇としての構成や魅力を解説し、最後に、山寺から駆け落ちする小坊主と尼さんの明るい民謡調のお芝居もご覧いただきます。
演奏:小江南曲社崑曲班/崑劇上演:日本崑劇之友社(山田晃三、三野雄一郎)

話題提供者:前田 尚香  氏 崑劇研究者

略歴:

1989年 同志社大学商学部卒業
2003年 北京師範大学中国文学部博士課程修了
2002-04年 在中国日本大使館広報文化センター専門調査員
2007年- 京都大学等非常勤講師
1989年より北方崑曲劇院著名女優・張毓文に師事。
五十以上の崑曲伝統劇を学ぶ。
また、2001 年より江蘇省崑劇院の著名女優・張継青にその代表作『牡丹亭』等を学ぶ。 北京・上海、京阪神・東京などでの舞台公演、シンポジウムなどに多数参加。伝統演目の脚本整理などにも携わり、『崑劇芸術家馬祥麟演出劇目集』等を作成。

1991年成立の日本崑劇之友社は、これまで日中双方での公演、研究活動、講演会などをはじめ、さまざまな広報活動や文化交流を行ってきている。日本崑劇之友社のメンバーが中心となって定期的に行っている曲会として、神戸の江南春琴行主催の「崑曲勉強会」や、京都の妙啼曲社主催の曲会(崑曲、中国民族音楽、筑前琵琶楽)などがある。
ホームページ: https://jiangnan.ocnk.net/page/3


2024年2月10日 第165回 宮川 康子

懐徳堂という場所から見えるもの 

概要:

 懐徳堂は1724年(享保9)大坂商人たちによって今の中央区今橋3丁目に建てらた学問所で、奇しくも今年は設立300年にあたります。大正時代に内藤湖南などが大いに顕彰に努め、大正5年には現在のマイドーム大阪の地に重建懐徳堂が建てられました。終戦まで市民大学として親しまれたにもかかわらず、今では懐徳堂の名前を知る人はほとんどいません。寛政期に最盛期を迎え、明治2年まで存続した懐徳堂は、当時江戸の昌平黌をも凌ぐといわれる学問の中心地でした。その懐徳堂が何故忘れられてしまったのでしょうか。江戸時代の懐徳堂から現在の大阪を見てみると、何が見えてくるのでしょう。
 私はかつて重建懐徳堂があった場所の近くに、人々が自由に集まり学べる場所としてのブックカフェを開き、「哲学カフェ懐徳堂」と名づけました。それは教職時代からの私の夢でもありました。10坪あまりのささやかな空間ですが、少しでも懐徳堂の灯を継いでいけたらと願っています。

話題提供者:宮川 康子 氏 哲学cafe 懐徳堂 オーナー https://www.cafe-kaitokudo.com/

略歴:

1953年東京生まれ。1977年神戸大学文学部卒。1992年大阪大学文学研究科博士課程後期単位取得退学。専門は日本思想史。千葉大学、京都産業大学で教鞭を取る。2020年に京都産業大学を退職。2022年大阪中央区糸屋町に自身の蔵書を展示し自由に読んでもらえるブックカフェ「哲学カフェ懐徳堂」をオープン。読書会や市民講座なども開いている。大学院時代から大阪の町人学問所懐徳堂の研究に従事し、その後町人学問所の源流とも言える京都の古義堂の研究も進めてきた。主著は『富永仲基と懐徳堂』(ぺりかん社)、『自由学問都市大坂』(講談社メチエ)。


2024年1月13日 第164回 永井 一広

書店から見える台湾 ~台湾書店百年の物語」を中心に

概要:

台湾の近代化は概ね、日本統治時代とともにはじまったといわれています。鉄道・水道・病院・学校などのインフラ整備とともに、街には書店の開業も相次ぎました。当初、日本人による書店がほとんどでしたが、教育の普及とともに台湾人の知識人が現れ始めますと、彼らは台湾人のアイデンティティに目覚めていき、やがて台湾人による書店が開業されていきます。この当時の書店事情を紐解いていくと、現在の台湾における独立書店の原点が、実は日本統治時代の書店にあったことが窺えます。この度は『台湾書店百年の物語』(H.A.B刊)の内容を中心に、古書店店主ならではの視点で台湾の歴史・文化などのお話しをさせていただければと思っております。

話題提供者:永井 一広 氏 フォルモサ書院(南森町) 店主 https://formosa8.webnode.jp/

略歴:

大阪生まれ。会社員を経て、2018年フォルモサ書院を開業。台湾関係を中心に文学・食・紀行・美術などの古書も扱う。2022年『台湾書店百年の物語』(H.A.B刊)を台湾人の妻と翻訳。台湾渡航歴多数。2023年2月、台北国際書展・台湾独立書店協会ブースにおいて日本の古本業界について登壇。『小説すばる』12月号(集英社)にエッセイを寄稿。


2023年11月11日 第163回 岡 豊樹

最新の中国経済を考える

概要:

昨今のメディアが報じる中国経済の実態と日本企業が抱える対中事業戦略のリスクとチャンスを考える。また、中国ビジネスの現場において中国政府や企業が日本に何を求めているのかについても論じる。

話題提供者:岡 豊樹 氏 日中投資促進機構代表理事事務局長 兼みずほ銀行理事

略歴:

昭和61年 4月 株式会社日本興業銀行 入行
平成14年 4月 株式会社みずほコーポレート銀行国際審査部参事役
平成18年11月 同 香港支店副支店長
平成23年 4月 同 北京支店長
平成27年 7月 株式会社みずほ銀行執行役員・みずほ銀行(中国)行長(頭取)
平成29年 4月 同 執行役員・董事長(会長)
平成31年 4月 同 理事・董事長(会長)
令和元年 8月 日中投資促進機構 事務局長 兼 株式会社みずほ銀行 理事
令和 5年 4月 一般社団法人日中投資促進機構に改組 代表理事 ・事務局長
      兼 株式会社みずほ銀行 理事(現在に至る)


2023年10月14日 第162回 高見 邦雄

黄土高原で緑化協力30年

概要:

「環境に国境はない」「地球環境のための国境を越えた民衆の協力」という標語をかかげて、緑の地球ネットワークが黄土高原の農村で緑化協力をはじめたのは1992年のことでした。でも、初期のメンバーはシロウトばかり。そのうえ山西省大同市は日中戦争で大きな被害を受けたところ。最初のうちは失敗つづきだったのです。やがて日本側でも専門家が加わり、中国側でもしっかりした態勢がつくられて、確実に成果があがるようになりました。中国でも国際協力の貴重な成功例と評価され、たくさんの賞を受けました。コロナ禍をへて4年ぶりにこの夏訪れた現地のようすを含めて、経験と教訓をお話ししたいと思います。

話題提供者:高見 邦雄 氏

略歴:

1948年鳥取県の大山のふもとの農家で生まれ育つ。1970年東京大学中退。中国との民間交流に従事したあと、1992年緑の地球ネットワークの設立に参加。黄土高原での緑化協力事業を担当し、のちに事務局長、副代表。活動の記録『ぼくらの村にアンズが実った』(日経新聞社、2003年)は中国版、韓国版も刊行されている。日本と中国とでたくさんの賞を受けている。


2023年9月9日 第161回 森 康二郎

トキの復活と日中協力

概要:

 東アジア特産の希少鳥類トキは20世紀60~70年代にかけて各国で姿を消し、日本でも絶滅寸前となっていました。そうした中1981年5月、中国秦嶺山脈で生き残っている7羽が発見され、そこから復活への取組みが始まります。再発見当初から日中のトキ関係者は息の長い協力を継続しそれぞれ再生への努力を重ねてきました。現在世界のトキ総数は9千羽(中国推定)まで回復し、差し迫った危機は脱しています。日本と中国におけるトキ再生の歩み、そこでの日中相互の支援・協力について振り返ります。

話題提供者:森 康二郎 氏 元JICA中国トキプロジェクト派遣専門家

略歴:

 1974年 京都大学農学部卒業、同年環境庁入庁。国立公園管理、野生生物保護等を担当し、トキ保護協力にも関わる。2004年退官、財団法人(国立公園協会)職員を経て2010年から5年間JICA“人とトキ”プロジェクト専門家として西安市に駐在。


2023年7月8日 第160回 厳 善平

中国のアキレス腱だった三農問題の変容

概要
①「中央1号文件」を触れつつ「三農問題」の軽減、解消に向けての党中央の取り組みを振り返る。 ②食糧問題、つまり、増産対策、およびそのための構造調整、食糧安保戦略の方針転換について分析する。 ③格差社会が形作られた、農村都市間の所得格差がどのように是正され、また、どのような問題が残っているかについて解説する。

話題提供者:厳 善平 氏
      同志社大学大学院教授

略歴

中国・南京農学院農業経済学系卒業、京都大学大学院博士課程修了(農学博士)
桃山学院大学経済学部教授等を経て、2011年より同志社大学大学院教授
専門:農業経済学、開発経済学、中国経済論
主著:『農民国家の課題』『農村から都市へ』『現代中国の社会と経済』など多数


2023年6月10日 第159回 ダニエル・ロドリゲス

中国と日本の鉄道デザイン

概要

鉄道車両市場は世界の新しい地域に拡大しています。発展途上国は、都市の交通インフラに多額の投資を始めています。日本の鉄道メーカーは、この新しい国際市場に参入するために、ビジネス慣行を進化させる新しい方法を生み出しています。これらの新しい市場向けの車両を効果的に設計および販売するには、他の文化に関する深い知識が不可欠です。

話題提供者:ダニエル・ロドリゲス  
      近畿車輛株式会社デザイン室 デザイン主幹技師

略歴

1968年 メキシコシティ生まれ。トランスポーテーションデザイナー。
1995年 イベロアメリカーナ大学卒業。
2000年 京都市立芸術大学大学院卒業。
メキシコと日本のいくつかの自動車 OEM のデザインスタジオ(3M、フォード、ディナ、ジオット・デザイン (童夢))で勤務をへて
現在、近畿車輛株式会社デザイン室 デザイン主幹技師。
日本と海外市場向けに鉄道車両をデザインを担当


2023年5月13日 第158回 西川 廉平 氏

民の視点で読み解く「強国中国」

概要
中国関連のニュースを目にしない日はないほど存在感が高まっている大国・中国ですが、報道や専門家の分析は中国共産党や政府の政策という「お上」の視点から読み解くものが大半です。
西側の普遍的価値を否定し、強国化路線を邁進する習近平政権の下で、一般の庶民や民間企業経営者が何をどう感じ、どのように行動しようとしているのか。
「民」の視点から中国社会の現象を読み解こうという試みです。

話題提供者:西川 廉平  
      共同通信社大阪経済部次長

略歴
1974年生まれ、新潟県出身
1997年 慶応大学経済学部卒
   同年 共同通信社入社 松江支局や大阪社会部などを経て、経済部で財務省、官邸、経済産業省、自動車、電機業界などを担当
2013年 中国の清華大学留学
2015~19年 中国総局(北京)で中国経済を担当
2021年~ 大阪経済部次長


2023年4月8日 第157回 中島 宏治 氏

中国の環境重視政策とその余波

概要
中国では、1980年代に入って重要文書に環境問題が登場してきた。その後、習近平政権になってから2015年に環境保護法が改正され、2018年の憲法改正で「生態文明建設」が明記されるなど、明らかに環境重視政策が進められてきた。
 その背景には何があるのか。また、その余波は日系企業にどのように影響したのか。これまで水俣病訴訟などの環境問題に取り組み、中国の環境法律家とも交流があることから、中国の環境問題について話したい。

話題提供者:中島 宏治  
      弁護士法人法円坂法律事務所 弁護士

略歴
1966年 宮崎県生まれ
1993年 京都大学法学部卒業
1998年 司法研修所卒業(司法修習50期)
1998年 弁護士開業(大阪弁護士会:法円坂法律事務所所属)
2000年 日本法円坂律師事務所大連代表処開設
2007年 日本法円坂律師津事務所大連代表処首席代表就任 2017年 弁護士法人法円坂法律事務所設立、代表社員に就任

著書:
「北東アジアに激変の兆し-中・朝・ロ国境を行く-」
((社)大阪能率協会・アジア中国事業支援室編-共著)
「建築関係紛争の法律相談」(青林書院-共著)
「シックハウスがわかる」((社)大阪府建築士会等編-共著)


2023年3月11日 第156回 王 文強 氏

「変面」芸術の世界

概要:

一瞬でお面が変わる早業はまさに瞬間芸術。その技の仕組みは秘伝・中国国家機密とされています。「中国伝統芸能の絶技」として高い人気を誇る「変面」についてその知られざる文化的背景や、伝承の過程、現状や課題等について解説いたします。パフォーマンスをご覧いただきながら、次々と変わるお面(隈取り)に合わせた動きや役の変化に是非注目してみてください。

話題提供者:王 文強  
      一般社団法人アジア芸術文化促進会代表/中国伝統芸能「変面」俳優
      豊島区国際アートカルチャー特命大使/日本徽商協会理事

略歴:

中国安徽省生まれ。
12歳より中国伝統劇を学び、安徽省銅陵市芸術劇院所属の俳優として舞台経験を積む。 2009年から国立中国戯曲学院演劇学科で創作方法論や演出手法を学ぶ。演出と主演を務めた伝統劇作品「秀才与刽子手」で第八回全国戯劇文化賞演技金賞・演出賞を受賞。                     2014年に来日、日本大学大学院芸術学研究科舞台専攻に入学。 在籍中より国際文化交流に深い関心を抱き、2018年に「一般社団法人アジア芸術文化促進会」を設立。
現在は日本を中心に全国各地で様々な芸術文化を紹介する出演やイベント企画、文化交流、日中青少年交流活動を行っている。中国伝統芸能「変面」を現代劇に生かす世界で類を見ない試みにも積極的に挑戦し、2021年『王文強の変面の世界(銀座博品館)』、2022年『〜能舞台で繰り広げる西遊記奇聞〜「みんな迷い子」(国立能楽堂)』などを主催・出演。


2023年2月11日 第155回 有田 正文 氏

上海国際港務集団

概要:

1956年に米国で始まったコンテナ輸送は海運の革命といわれている。大阪港では1969年に最初のコンテナターミナルが稼働した。上海港がコンテナ荷役を始めたのは1979年であった。1993年には香港のハチソン社と合弁会社「上海コンテナターミナル有限公司」を設立し、これを契機として外高橋地区や洋山港での相次ぐコンテナターミナル建設につながっていった。
 今や上海港は世界一のコンテナ取扱量を誇っている。上海のコンテナ取扱量の急増を振り返りながら日本のコンテナ港湾政策についても考えてみたい。

話題提供者:有田 正文  大阪港振興協会 専務理事

略歴:

1953年生まれ
1975年3月大阪市立大学経済学卒業
1975年4月大阪市に就職(港湾局)
1996年4月大阪市港湾局振興課長
2002年4月大阪港埠頭公社総務部長
2013年4月公益社団法人大阪港振興協会専務理事兼事務局長


2023年1月14日 第154回 工藤 和直 氏

中国古銭の研究から見えるもの

概要:

貨幣の機能には、①支払い、②価値の尺度、③貯蔵、④交換手段があり、いずれか一つに該当したら貨幣と見なされる。中国では、古代から貨幣として南海産子安貝・穀物・家畜・布帛(絹布)があったが、消耗劣化するため、春秋時代(BC770年~)以降は、金属(青銅器)や紙(北宋時代の交子)が使われた。青銅製貨幣が全国的に使用されたのは、戦国時代(BC453~)以降で、戦国七雄時代には巨大な貨幣経済圏ができていた。蛍光X線を用いて成分分析すると、時代とともに銅・錫・鉛の成分が変化し、銅中の微量銀成分は西暦1500年以降、急激に減少している。また、鉛同位体比分析から、鋳造場所や時代を同定できる。これは、邪馬台国の銅鏡(神獣鏡)の分布にも応用されている。銅銭の四角の穴から、天円地方の古代宇宙観や、中国4000年の歴史・文化・経済を見て行こうと思っている。

話題提供者:工藤 和直氏 
経営アドバイザー ㈱ソディック/ ㈱芝浦電子 社外取締役

略歴:

1953年(昭和28年)3月、宮崎市生まれ
1977年、九州大学大学院工学研究科修了後、住友電気工業株式会社入社
2004年、江蘇省蘇州市赴任後、蘇州住電装有限公司董事総経理
2008年、住友電装株式会社執行役員兼務。
2013年、蘇州日商倶楽部(商工会)会長
2015年から最高顧問として中国関係会社を指導、青島京信工業(株)高級顧問。
2018年から(株)ソディック・(株)芝浦電子の社外取締役に就任
現在も中国駐在経験を活かし「チャイナリスク化でのビジネスの進め方」など多方面で講演、著作に「蘇州たより」、「蘇州たよりⅡ」などがある。


2022年12月17日 第153回 近藤 伸二

軍事圧力『常態化』後の中台関係

概要:

 今年8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問し、反発した中国が大規模な軍事演習を実施して以来、軍事圧力が「常態化」しています。10月に開催された共産党大会で異例の3期目に入った習近平総書記はますます権威と権力を集中し、台湾への統一攻勢を強める構えを見せています。台湾では11月に統一地方選挙が行われ、蔡英文政権に有権者の審判が下されます。新年を迎えると、与党・民進党や最大野党・国民党などで翌2024年の総統選候補者の党内レースが始まり、「政治の季節」が幕を開けます。中国新体制の下、中台関係はどこに向かうのか、行方を占ってみたいと思います。

話題提供者: 近藤 伸二氏 ジャーナリスト・関西学院大学国際学部非常勤講師

略歴:

 1956年神戸市生まれ。1979年神戸大学経済学部卒業、毎日新聞入社。香港支局長、台北支局長、大阪本社経済部長、論説副委員長などを歴任。1994~1995年、香港中文大学に留学。2014年追手門学院大学経済学部教授、2017~2021年同大学オーストラリア・アジア研究所長兼任。2022年3月同大学を退職、4月からジャーナリストとして活動し、関西学院大学国際学部非常勤講師も務めている。著書に『彭明敏 蔣介石と闘った台湾人』(白水社、2021年)、『米中台 現代三国志』(勉誠出版、2017年)、『アジア実力派企業のカリスマ創業者』(中公新書ラクレ、2012年)、『反中vs.親中の台湾』(光文社新書、2008年)、『続・台湾新世代――現実主義と楽観主義』(凱風社、2005年)、『台湾新世代――脱中国化の行方』(凱風社、2003年)など。


2022年11月12日 第152回 竇少杰(とうしょうけつ)氏

日本の長寿企業の特徴:東アジアにおける共通性と多様性

概要:

コロナ禍により全世界で「コロナ倒産」が大量発生し、企業の「持続可能な経営」への社会的関心が高まりつつある中、日本に数多く存在する長寿企業が改めて注目を集めるようになっている。長寿企業の最大の強みは、豊富な経験知に裏付けられた危機管理力であり、持続可能な経営に必要不可欠な構成要素でもある。本発表は、日本の長寿企業(主に家族企業)を研究対象の中心に据えるとともに、日本と同じ東アジア文化圏に属する諸社会(具体的には韓国・中国本土・台湾)の家族企業を比較対象とする。経営学・社会学の理論・方法と諸社会の共通性と多様性を踏まえつつ、家族企業の複雑系構造を「企業経営」・「家族経営」・「財産経営」という3つの側面に分解し、日本の長寿家族企業の特徴を、多くの現地調査をもとに分析する。

話題提供者: 竇少杰(とうしょうけつ)氏 立命館大学経営学部講師

略歴:

1976年中国山東省青島市生まれ。中国の寧波大学を卒業して2001年11月来日。2009年同志社大学大学院社会学研究科産業関係学専攻博士課程後期修了。博士(産業関係学)。同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターにて特別研究員、北京大学政府管理学院客員研究員、ミシガン大学訪問学者を経て2014年から現職。主要な業績は『中国企業の人的資源管理』(中央経済社、2013年)、『百年伝承的秘密:日本京都百年企業的家業伝承』(中国語・浙江大学出版社、2014年)、『現代中国の経済と社会』(中央経済社、2022年)、『“新常態”中国の生産管理と労使関係』(ミネルヴァ書房、2022年)等。


2022年10月8日 第151回 十川美香氏

中国の開放を読み解く 故陳錦華氏の編著等から

概要:
 米中対立、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、そして中国共産党中央の人事更新期のなかで、日中国交正常化50周年を機に、中国との関係性をあらためて問う声が高まっています。
 今回は、中国の「開放」というキーワードを切り口に、この問題を考えてみたいと思います。一つの参考として、日中国交正常化50周年に向け、コロナ禍のなかで、ごく限られた人々の間で話題にされてきた書籍を取り上げてみます。それは、『開放と国家の盛衰』(人民出版社)という書籍です。
 2016年に亡くなられた陳錦華さんという中国の知日家・指導者(2008年に旭日大綬章受賞)が研究者と共に2010年に発表されました。
 2010年という時期は、中国がWTO加盟の果実を享受しつつ北京五輪、上海万博を経て、世界第二の経済大国への成長を果たし、さらに「和諧社会」を目指そうとした胡錦涛・温家宝政権の総括期です。そこには、その後の新政権へのレガシーが読み取れるかもしれません。
 一方、その後、どのように取捨選択されていったのか・・・。2007年の日中国交正常化35周年に日本語版が出された陳錦華さんの著書『国事憶述』も併せてご紹介し、皆様のご参考に供したいと思います。

話題提供者: 十川美香氏 日中経済協会 上席参与

略歴:

大阪外国語大学中国語科在学中、1980~82年北京語言学院、
天津南開大学に留学。
卒業後、1983年日中経済協会に就職し、調査部、業務部、振興部、
事業開発部、企画調査部などで経済交流実務や関連調査に従事。
その間、1995~99年海外経済協力基金(当時)に出向し環境
分野等のODA円借款業務を担当。
後、英国ウエールズ大学通信制大学院環境マネジメントシステム
監査コースでMSC(理学修士号)修得。
2014年7月~21年6月日中経済協会理事、21年7月から
日中経済協会関西本部で現職。


2022年9月3日(土)第150回 塩出浩和 氏

国家安全優先下のマカオ

概要: 香港に於ける2014年のオキュパイセントラル運動(雨傘運動)から2020年の「香港維護国家安全法」制定までの6年間は、この特別行政区において民主化運動と警察が激突し、次第に警察側が有利になるプロセスであった。(あえて「警察」としているのは、香港特区政府トップと香港警察の意識がずれていたからことがあるから)
 この間、マカオにおいては激しい民主化運動や反体制運動は起きていない。その背景として、国家安全法制を香港よりも早い2009年に既に制定していたこと、もともとマカオの民主派勢力が弱かったこと、そして香港よりも経済状況が良好だったことなどが挙げられる。
 さらに、歴史的な経緯も「マカオの安定」に貢献している。4世紀半にわたりポルトガル人が居住してきたマカオは「大家さん」である中国との付き合い方を心得ている。わずか1世紀半の経験しかない香港よりも中国に「馴化」しているのである。また、1966年12月以後はマカオに於ける重要な政策決定は中国共産党広東省委員会の影響下にあった。そのプロセスのなかで中国もマカオに「馴化」したのである。
 とはいえ、マカオに於いても国家安全を理由とする参政権や表現の自由への弾圧はあった。香港の民主活動家の一部は「マカオの国家安全」を理由としてマカオ入域を拒否されている。そして、2021年9月の立法会選挙では複数の民主派現職議員の立候補資格が取り消された。また、最近のいくつかの立法では、国家安全を理由とするさまざまな条項が付加されている。それらの立法には、カジノ関係法・中国伝統医学関係法・通信記録提供法などが含まれる。
 従来の、「比較的自由で開かれた社会を保ちつつカジノ中心経済も維持する」という「ハンドリングが難しい狭い道」をマカオは歩むことができるのだろうか。

略歴
 1960年 横浜市生まれ
 1982年 慶應義塾大学法学部政治学科卒業
 1982-83年 香港中文大学社会科学院留学
 1985-89年 Center for the Progress of Peoples 研究員
       1986-87年 同クアラルンプール所長
 1990年 国際大学アジア発展研究所研究員
 2000年 城西国際大学語学教育センター専任講師
 現在 同准教授
    中央大学経済学部・同大学院総合政策研究科非常勤講師
 専攻 中国近代史・華南社会・マカオ

主要業績
  Japanese Investment in Southeast Asia -Three Malaysian Case Studies, HongKong:
Center for the Progress of Peoples, 1989.
  “Tumen River Area Development Programme: The North Korean Perspective”, Myo
Thant, Min Tang and Hiroshi Kakazu eds., Growth Triangles in Asia -A New Approach
to Regional Economic Cooperation, HongKong; Oxford University Press, 1994.
『可能性としてのマカオ』亜東書店、1999年。
「武漢・南京政権成立後の広州 -1927年1月~8月-」中央大学人文科学研究所編
『民国後期中国国民党政権の研究』中央大学出版会、2005年。
「香港における戦勝と解放」川島真・貴志俊彦編『資料で読む世界の8月15日』
山川出版社、2008年。
「戦後香港における憲政改革と香港社会 -1947年から48年-」
中央大学人文科学研究所編『中華民国の模索と苦境 1928~1949』中央大学出版会、
2010年。
 『変容する華南と華人ネットワークの現在』風響者、2014年。
(谷垣真理子・容應萸との共編著)
2011年から『東亜』に「マカオは今」を隔月連載中。ほか


2022年8月20日(土)第149回 江上志朗 氏


蔓延る中国崩壊論の虚実

5年前の江上報告再検討

概要: 上海市のロックダウン(都市封鎖)や中国不動産大手の債務不履行(デフォルト)が相次ぎ、中国経済の行方が危ぶまれています。2022年4~6月期のGDP成長率は3~4%となる見通しで、中国共産党・政府が掲げる目標の5.5%には届かないことが確実視されています。中国はやはり、このまま停滞が続き、崩壊の道へと向かうのでしょうか。私の個人的な見解では、中国は少なくとも5年前に比べれば成長していると思っています。GDPは2017年の83兆円から2021年は113兆円に3割増加。平均賃金は2021年には初めて10万元(200万円)の大台を突破し、この5年間で4割近く上昇しています。今回の報告では、5年前に行った報告を検証する形で、悲観的でも楽観的でもない中国の今の姿を浮き彫りにしたいと思っています。

略歴
1967年生まれ、三重県松阪市出身
1992年 日本大学国際関係学部卒
    (中国ジャーナリズム論専攻)
同年   読売新聞東京本社入社。98年から国際部記者
2001年 読売新聞上海支局長
2003年 共同通信グループNNA入社
     The Daily NNA中国総合版編集長、本社東アジア部長
2016年 NNA退社後、上海から帰国。17年6月に華人研で報告。
2020年 三重大学大学院教育学研究科日本語学専攻修了
同年より名古屋市で国内外の調査業務に従事

共著:「日中関係は本当に最悪なのか~政治対立下の経済発信力」
    「日中対立を超える『発信力』」(いずれも日本僑報社)等
趣味:クラシック音楽鑑賞


2022年7月16日(土)第148回 金銅重弘 氏

中国下の香港

中国・香港のCHOYAからCHOYAの中国・香港へ

概要:『日本のバブル経済崩壊(1990年3月)』、『鄧小平の南巡講話(1992年10月)』、『香港の中国への返還(1997年7月1日)』この三点が、アジアを経済面から大きく揺り動かし、Turning Point になり、現状のアジア経済を形成している主な要因となっています。
 この三点が、今の香港経済のどの部分に影響しているかを Review しながら、コロナ後、中国政府の影響がますます強くなるであろう香港経済がどのような状況になり、どのように進んでいくか?私の運営する会社の香港における CHOYA Brand の現状のエピソードも交えながら、皆さんと考える時間を過ごせれば、幸いですです。

略歴:

1954年 大阪府生まれ 最終学歴:和歌山大学(経済学部)
1983年 蝶矢洋酒醸造株式会社(現:チョーヤ梅酒株式会社)入社。 
     主に海外市場の開拓に携わる。
1996年 同 取締役海外事業部長に就任
2007年 同 代表取締役社長に就任

趣味:  ヨーロッパのワイナリー廻り ラグビー観戦