最近の例会

2023年1月14日 第154回 工藤 和直 氏

中国古銭の研究から見えるもの

概要:

貨幣の機能には、①支払い、②価値の尺度、③貯蔵、④交換手段があり、いずれか一つに該当したら貨幣と見なされる。中国では、古代から貨幣として南海産子安貝・穀物・家畜・布帛(絹布)があったが、消耗劣化するため、春秋時代(BC770年~)以降は、金属(青銅器)や紙(北宋時代の交子)が使われた。青銅製貨幣が全国的に使用されたのは、戦国時代(BC453~)以降で、戦国七雄時代には巨大な貨幣経済圏ができていた。蛍光X線を用いて成分分析すると、時代とともに銅・錫・鉛の成分が変化し、銅中の微量銀成分は西暦1500年以降、急激に減少している。また、鉛同位体比分析から、鋳造場所や時代を同定できる。これは、邪馬台国の銅鏡(神獣鏡)の分布にも応用されている。銅銭の四角の穴から、天円地方の古代宇宙観や、中国4000年の歴史・文化・経済を見て行こうと思っている。

話題提供者:工藤 和直氏 
経営アドバイザー ㈱ソディック/ ㈱芝浦電子 社外取締役

略歴:

1953年(昭和28年)3月、宮崎市生まれ
1977年、九州大学大学院工学研究科修了後、住友電気工業株式会社入社
2004年、江蘇省蘇州市赴任後、蘇州住電装有限公司董事総経理
2008年、住友電装株式会社執行役員兼務。
2013年、蘇州日商倶楽部(商工会)会長
2015年から最高顧問として中国関係会社を指導、青島京信工業(株)高級顧問。
2018年から(株)ソディック・(株)芝浦電子の社外取締役に就任
現在も中国駐在経験を活かし「チャイナリスク化でのビジネスの進め方」など多方面で講演、著作に「蘇州たより」、「蘇州たよりⅡ」などがある。


2022年12月17日 第153回 近藤 伸二

軍事圧力『常態化』後の中台関係

概要:

 今年8月にペロシ米下院議長が台湾を訪問し、反発した中国が大規模な軍事演習を実施して以来、軍事圧力が「常態化」しています。10月に開催された共産党大会で異例の3期目に入った習近平総書記はますます権威と権力を集中し、台湾への統一攻勢を強める構えを見せています。台湾では11月に統一地方選挙が行われ、蔡英文政権に有権者の審判が下されます。新年を迎えると、与党・民進党や最大野党・国民党などで翌2024年の総統選候補者の党内レースが始まり、「政治の季節」が幕を開けます。中国新体制の下、中台関係はどこに向かうのか、行方を占ってみたいと思います。

話題提供者: 近藤 伸二氏 ジャーナリスト・関西学院大学国際学部非常勤講師

略歴:

 1956年神戸市生まれ。1979年神戸大学経済学部卒業、毎日新聞入社。香港支局長、台北支局長、大阪本社経済部長、論説副委員長などを歴任。1994~1995年、香港中文大学に留学。2014年追手門学院大学経済学部教授、2017~2021年同大学オーストラリア・アジア研究所長兼任。2022年3月同大学を退職、4月からジャーナリストとして活動し、関西学院大学国際学部非常勤講師も務めている。著書に『彭明敏 蔣介石と闘った台湾人』(白水社、2021年)、『米中台 現代三国志』(勉誠出版、2017年)、『アジア実力派企業のカリスマ創業者』(中公新書ラクレ、2012年)、『反中vs.親中の台湾』(光文社新書、2008年)、『続・台湾新世代――現実主義と楽観主義』(凱風社、2005年)、『台湾新世代――脱中国化の行方』(凱風社、2003年)など。


2022年11月12日 第152回 竇少杰(とうしょうけつ)氏

日本の長寿企業の特徴:東アジアにおける共通性と多様性

概要:

コロナ禍により全世界で「コロナ倒産」が大量発生し、企業の「持続可能な経営」への社会的関心が高まりつつある中、日本に数多く存在する長寿企業が改めて注目を集めるようになっている。長寿企業の最大の強みは、豊富な経験知に裏付けられた危機管理力であり、持続可能な経営に必要不可欠な構成要素でもある。本発表は、日本の長寿企業(主に家族企業)を研究対象の中心に据えるとともに、日本と同じ東アジア文化圏に属する諸社会(具体的には韓国・中国本土・台湾)の家族企業を比較対象とする。経営学・社会学の理論・方法と諸社会の共通性と多様性を踏まえつつ、家族企業の複雑系構造を「企業経営」・「家族経営」・「財産経営」という3つの側面に分解し、日本の長寿家族企業の特徴を、多くの現地調査をもとに分析する。

話題提供者: 竇少杰(とうしょうけつ)氏 立命館大学経営学部講師

略歴:

1976年中国山東省青島市生まれ。中国の寧波大学を卒業して2001年11月来日。2009年同志社大学大学院社会学研究科産業関係学専攻博士課程後期修了。博士(産業関係学)。同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターにて特別研究員、北京大学政府管理学院客員研究員、ミシガン大学訪問学者を経て2014年から現職。主要な業績は『中国企業の人的資源管理』(中央経済社、2013年)、『百年伝承的秘密:日本京都百年企業的家業伝承』(中国語・浙江大学出版社、2014年)、『現代中国の経済と社会』(中央経済社、2022年)、『“新常態”中国の生産管理と労使関係』(ミネルヴァ書房、2022年)等。


2022年10月8日 第151回 十川美香氏

中国の開放を読み解く 故陳錦華氏の編著等から

概要:
 米中対立、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、そして中国共産党中央の人事更新期のなかで、日中国交正常化50周年を機に、中国との関係性をあらためて問う声が高まっています。
 今回は、中国の「開放」というキーワードを切り口に、この問題を考えてみたいと思います。一つの参考として、日中国交正常化50周年に向け、コロナ禍のなかで、ごく限られた人々の間で話題にされてきた書籍を取り上げてみます。それは、『開放と国家の盛衰』(人民出版社)という書籍です。
 2016年に亡くなられた陳錦華さんという中国の知日家・指導者(2008年に旭日大綬章受賞)が研究者と共に2010年に発表されました。
 2010年という時期は、中国がWTO加盟の果実を享受しつつ北京五輪、上海万博を経て、世界第二の経済大国への成長を果たし、さらに「和諧社会」を目指そうとした胡錦涛・温家宝政権の総括期です。そこには、その後の新政権へのレガシーが読み取れるかもしれません。
 一方、その後、どのように取捨選択されていったのか・・・。2007年の日中国交正常化35周年に日本語版が出された陳錦華さんの著書『国事憶述』も併せてご紹介し、皆様のご参考に供したいと思います。

話題提供者: 十川美香氏 日中経済協会 上席参与

略歴:

大阪外国語大学中国語科在学中、1980~82年北京語言学院、
天津南開大学に留学。
卒業後、1983年日中経済協会に就職し、調査部、業務部、振興部、
事業開発部、企画調査部などで経済交流実務や関連調査に従事。
その間、1995~99年海外経済協力基金(当時)に出向し環境
分野等のODA円借款業務を担当。
後、英国ウエールズ大学通信制大学院環境マネジメントシステム
監査コースでMSC(理学修士号)修得。
2014年7月~21年6月日中経済協会理事、21年7月から
日中経済協会関西本部で現職。


2022年9月3日(土)第150回 塩出浩和 氏

国家安全優先下のマカオ

概要: 香港に於ける2014年のオキュパイセントラル運動(雨傘運動)から2020年の「香港維護国家安全法」制定までの6年間は、この特別行政区において民主化運動と警察が激突し、次第に警察側が有利になるプロセスであった。(あえて「警察」としているのは、香港特区政府トップと香港警察の意識がずれていたからことがあるから)
 この間、マカオにおいては激しい民主化運動や反体制運動は起きていない。その背景として、国家安全法制を香港よりも早い2009年に既に制定していたこと、もともとマカオの民主派勢力が弱かったこと、そして香港よりも経済状況が良好だったことなどが挙げられる。
 さらに、歴史的な経緯も「マカオの安定」に貢献している。4世紀半にわたりポルトガル人が居住してきたマカオは「大家さん」である中国との付き合い方を心得ている。わずか1世紀半の経験しかない香港よりも中国に「馴化」しているのである。また、1966年12月以後はマカオに於ける重要な政策決定は中国共産党広東省委員会の影響下にあった。そのプロセスのなかで中国もマカオに「馴化」したのである。
 とはいえ、マカオに於いても国家安全を理由とする参政権や表現の自由への弾圧はあった。香港の民主活動家の一部は「マカオの国家安全」を理由としてマカオ入域を拒否されている。そして、2021年9月の立法会選挙では複数の民主派現職議員の立候補資格が取り消された。また、最近のいくつかの立法では、国家安全を理由とするさまざまな条項が付加されている。それらの立法には、カジノ関係法・中国伝統医学関係法・通信記録提供法などが含まれる。
 従来の、「比較的自由で開かれた社会を保ちつつカジノ中心経済も維持する」という「ハンドリングが難しい狭い道」をマカオは歩むことができるのだろうか。

略歴
 1960年 横浜市生まれ
 1982年 慶應義塾大学法学部政治学科卒業
 1982-83年 香港中文大学社会科学院留学
 1985-89年 Center for the Progress of Peoples 研究員
       1986-87年 同クアラルンプール所長
 1990年 国際大学アジア発展研究所研究員
 2000年 城西国際大学語学教育センター専任講師
 現在 同准教授
    中央大学経済学部・同大学院総合政策研究科非常勤講師
 専攻 中国近代史・華南社会・マカオ

主要業績
  Japanese Investment in Southeast Asia -Three Malaysian Case Studies, HongKong:
Center for the Progress of Peoples, 1989.
  “Tumen River Area Development Programme: The North Korean Perspective”, Myo
Thant, Min Tang and Hiroshi Kakazu eds., Growth Triangles in Asia -A New Approach
to Regional Economic Cooperation, HongKong; Oxford University Press, 1994.
『可能性としてのマカオ』亜東書店、1999年。
「武漢・南京政権成立後の広州 -1927年1月~8月-」中央大学人文科学研究所編
『民国後期中国国民党政権の研究』中央大学出版会、2005年。
「香港における戦勝と解放」川島真・貴志俊彦編『資料で読む世界の8月15日』
山川出版社、2008年。
「戦後香港における憲政改革と香港社会 -1947年から48年-」
中央大学人文科学研究所編『中華民国の模索と苦境 1928~1949』中央大学出版会、
2010年。
 『変容する華南と華人ネットワークの現在』風響者、2014年。
(谷垣真理子・容應萸との共編著)
2011年から『東亜』に「マカオは今」を隔月連載中。ほか


2022年8月20日(土)第149回 江上志朗 氏


蔓延る中国崩壊論の虚実

5年前の江上報告再検討

概要: 上海市のロックダウン(都市封鎖)や中国不動産大手の債務不履行(デフォルト)が相次ぎ、中国経済の行方が危ぶまれています。2022年4~6月期のGDP成長率は3~4%となる見通しで、中国共産党・政府が掲げる目標の5.5%には届かないことが確実視されています。中国はやはり、このまま停滞が続き、崩壊の道へと向かうのでしょうか。私の個人的な見解では、中国は少なくとも5年前に比べれば成長していると思っています。GDPは2017年の83兆円から2021年は113兆円に3割増加。平均賃金は2021年には初めて10万元(200万円)の大台を突破し、この5年間で4割近く上昇しています。今回の報告では、5年前に行った報告を検証する形で、悲観的でも楽観的でもない中国の今の姿を浮き彫りにしたいと思っています。

略歴
1967年生まれ、三重県松阪市出身
1992年 日本大学国際関係学部卒
    (中国ジャーナリズム論専攻)
同年   読売新聞東京本社入社。98年から国際部記者
2001年 読売新聞上海支局長
2003年 共同通信グループNNA入社
     The Daily NNA中国総合版編集長、本社東アジア部長
2016年 NNA退社後、上海から帰国。17年6月に華人研で報告。
2020年 三重大学大学院教育学研究科日本語学専攻修了
同年より名古屋市で国内外の調査業務に従事

共著:「日中関係は本当に最悪なのか~政治対立下の経済発信力」
    「日中対立を超える『発信力』」(いずれも日本僑報社)等
趣味:クラシック音楽鑑賞


2022年7月16日(土)第148回 金銅重弘 氏

中国下の香港

中国・香港のCHOYAからCHOYAの中国・香港へ

概要:『日本のバブル経済崩壊(1990年3月)』、『鄧小平の南巡講話(1992年10月)』、『香港の中国への返還(1997年7月1日)』この三点が、アジアを経済面から大きく揺り動かし、Turning Point になり、現状のアジア経済を形成している主な要因となっています。
 この三点が、今の香港経済のどの部分に影響しているかを Review しながら、コロナ後、中国政府の影響がますます強くなるであろう香港経済がどのような状況になり、どのように進んでいくか?私の運営する会社の香港における CHOYA Brand の現状のエピソードも交えながら、皆さんと考える時間を過ごせれば、幸いですです。

略歴:

1954年 大阪府生まれ 最終学歴:和歌山大学(経済学部)
1983年 蝶矢洋酒醸造株式会社(現:チョーヤ梅酒株式会社)入社。 
     主に海外市場の開拓に携わる。
1996年 同 取締役海外事業部長に就任
2007年 同 代表取締役社長に就任

趣味:  ヨーロッパのワイナリー廻り ラグビー観戦



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